<

表紙

クリックで大きくなります

下村式リズムで覚える『すうじ 1・2・3』
下村昇・作 / あおきひろえ・絵 / 文溪堂・刊 / 1600円

お母様へ


本書は、主として、数字の「読み方の基礎」と「書き順」を、楽しく、歌いながら覚えていくために作られた、幼児のための「リズムで覚える数字の絵本」です。


(1)数字の読み方
あなたは、「4.7.9」などの数字を、どう読みますか。
「し・しち・く」なのでしょうか。それとも、「よん・なな・きゅう」なのでしょうか。
計算では、発音の聞き取りやすい「よん・なな・きゅう」という言い方を使っているようですが、実際はどちらの読み方も正解なのです。こういうと、『じゃあ、「4分の7」を「よん分のしち」と読んでも、「し分のなな」と読んでもいいの?』と、不満に思われるでしょうが、正解は「イエス」なのです。どちらでもいいのです。
でも、ちょっとまってください。
どちらでもいいとはいっても、どんな場合でもいいというわけにはいきません。
「忠臣蔵」の「四十七士」を「よん十なな士」といったり、「四条なわて」を「よん条なわて」といったりしてはいけません。これらは「し十しち士」であり「し条なわて」なのですから……同じように、一年は「四季」(しき)ですし、時刻は「四時」(よじ)です。そして、遊びにきてくれたお友達の数は「四人」(よにん)といいます。


(2)漢数字の読み方
また、算用数字の読み方は、「いち」「に」「さん」「し」「ご」「ろく」「しち・なな」「はち」「く・きゅう」「じゅう」となりますが、漢数字の場合には、読み方が幾つかあります。「一」には「イチ・イツ・ひと・ひとつ」、「二」には「ニ・ふた・ふたつ」、「三」には「サン・み・みつ・みっつ」、「四」には「シ・よ・よつ・よっつ・よん」、「五」には「ゴ・いつ・いつつ」といった調子です。ここで、カタカナで書いたのはいわゆる音読みのしかたですし、ひらがなは訓読みです。
漢数字を使う場合は、『数を数える「つ」を含む名詞は、その「つ」を送る」』という漢字の送り仮名の付け方の決まりによって、読み方が少し違う場合があります。たとえば、「三つ組みの背広」は「みつ組みの背広」と「みつ」という言い方をしますし、「あめ玉を三つちょうだい」の場合は、「みっつ」と読みます。ですから「三つ」と書くと「みっつ」とも読みますし、「みつ」とも読むことがあるというわけです。同じように、「四」も、「四つ角」は「よつかど」であり、「四つ葉のクローバー」は「よつばのクローバー」であり、「四つの金ボタン」は「よっつの金ボタン」と読むことになります。


(3)算用数字と漢数字の使い方
左横書きの場合、特別な場合をのぞいて、数を表す場合はアラビア数字を用います。たとえば、3,985円 30本 60万円などのようにします。
そして、数の感じが少なくなってしまった「一般に」「一部の人たち」「一時的」とか、「二重まぶた」「一間きりの下宿」「三月(みつき)もの間、帰らなかった。」のような場合は漢字を用います。また、概数を示す「四、五日」とか、「五、六万」とか、「数十日」などのような場合にも、漢数字を用いることになっています。


(4)数字の字体
漢数字の場合は、さほど問題はないようですが、算用数字では字体による書き方の違いが問題になるようです。たとえば、「1」を書く場合、すこし傾けるのか、真っ直ぐおろすのかといったような問題、また、「2」「4」「7」などを「 」「 」「 」のように書いたら間違いなのか、などの問題が出てきます。字体には、活字体と筆写体(手書き)の二通りがあります。今の所、それについての一定した標準の形というものはないようです。本書では活字体を基準にして書けるようにしてあります。
これらのことをご理解の上、無理のない形で、上手に活用して、楽しい数字の読み書きの練習に役立てていただきたいと思います。


現代子どもと教育研究所 所長 下村 昇

下村式すうじ口唱法のページへ