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シリーズ全5巻                  表紙をクリックすると中身を見る事ができます。



下村昇の漢字ワールドシリーズ全5巻
下村昇・著 / 高文研・刊 / 各1,600円



■【下村昇の漢字ワールド】刊行にあたって――著者よりのメッセージ


① 「漢字」とはいいますが、漢字はいまや日本語表記のツールです。もっというならば漢字は日本語としての「言葉そのもの」です。ですから、指導者は日本における漢字というものの特質を知り、その特質を最大限に発揮するような読み書き指導の方法を導き出すことがよいということになります。
そして子供たちに日常生活の中で適切に使いこなせるようにさせて初めて、漢字をマスターさせることができた、漢字を指導したといえるのだろうと思います。そのためには、「漢字が好き」だという子供を育てることが大事です。


② 私には以前から提唱している下村式の「口唱法」(R)を中核においた、子供向けの小さな本があります。『下村式・唱えて覚える漢字の本』と『下村式・唱えて書く漢字練習ノート』(共に偕成社刊)といいます。
幸い、『漢字の本』は発売以来450万部を突破し、現在多くの子供たちに愛用され続けています。特に宣伝するわけでもないのに毎年コンスタントに10万部近くも増刷されているということは、日本の子供たちが求めている漢字学習のニーズにマッチし、子供の漢字学習の参考になっているということの証でもありましょう。


③ こうした事実をもとに、先生方が、この本のどこに子供たちが「漢字の勉強の魅力」を感じているのか、探って欲しいと思います。そうすれば、子供が期待する漢字学習の本質の一端が見えてくることだと思います。また、上記子供用の本からだけではわからない、下村式の指導法、口唱法の秘密も探りだせることだと思います。
 そして、下村式なるものの本質を正しく理解し、漢字の特性を踏まえ、子供にあった漢字指導を行えば、必ず子供たちは、生き生きと、より以上に楽しんで漢字の学習に取り組むことだと思います。そのことによって指導の効果が上がればこんなよいことはありません。


④ わたしには、漢字を教えるに際して、最低これくらいの漢字知識は持っていて欲しい。その上で指導計画を作成して欲しい。そして生きた口唱法を駆使して欲しいといった先生方に対する願いがあります。
明治以来変わることも進歩らしい進歩も見られなかった漢字の指導法、だれ一人として疑問すらも抱かなかった教え方を、ここらで見直してもらいたいという願いもあります。 
 今回、そうした願いを実現するために『下村昇の漢字ワールド』と銘打った一連の文字指導の体系を全五冊にまとめる機会を得ました。国語専攻ではないという先生でも、漢字は苦手だと思っている先生でも、この本によって漢字及び漢字指導についての知識と知恵をみがき、子供たちの漢字嫌い、苦手意識を克服してやっていただきたいと切に願っています。そうした考えで上梓したものです。


⑤ 日本の美しい言葉である日本語を、次代を担う子供たちに引き継ぐために、日本語と切っても切れない関係にある漢字、その漢字はいまや日本語そのものでもあるのです。
先ずは、指導者自身が子供以上に真剣になって、漢字と取り組んで欲しいと思います。『ローマは一日にしてならず』とは言い古された諺ですが、まさしくそのとおりだと思います。信念を持って、担任しているあなたのクラスの子供たちに、少なくとも、その年度一年間は、夢中になって漢字の指導に当たってもらいたいと思います。
 本書はそうした、やる気と勇気を起こしていただくための、現場の先生方への陰ながらの応援のメッセージでもあります。ぜひご一読いただき、実践につなげて欲しいと思っています。


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