母の胸の優しさを思い出したいときに

友だちから聞いた話です。 お店の前で、おねだりしても買ってもらえなかった子どもが、「お母さんのバーカ」と叫んだら、 いっしょにいたその子の友だちがつられて「おばさんのバーカ」と言ったのだそうです。 そしたら「なんで、ぼくのお母さんのこと、バカっていうんだよ!」と、 子供同士のけんかが始まったんですって… 子どもにとっては、やっぱり、なにがあっても 自分のお母さんは、「オカアサン」なのですね。


そんなとき この本を      

ふんふん なんだかいいにおい

にしまきかやこ・文絵 / こぐま社・刊


本からのヒント
さっちゃんは、お母さんの誕生祝いの花を摘みに出かけます。途中で動物たちに出会います。
 家に帰ると、きつねたちが来ています。お花をプレゼントするさっちゃんに「ありがとう」と言って、膝に乗せてくれるお母さんの光景を見た動物たちは、自分のお母さんが恋しくなり、家に帰っていきます。おおかみだけは帰らず、泣き出します。おおかみのお母さんは死んでいないのです。
 さっちゃんは「あたしのおかあさん、かしてあげるから、だっこしてもらったら」と言います。 さっちゃんのお母さんに抱かれたおおかみは、安らかな気持ちになります。
 子どもにとって、いちばん心の安らげるところ、それはお母さんの胸だということを、親と子と動物たちとの交流を通して教えてくれる絵本です。


「こんなとき子どもにこのほん」をへ戻る     下村昇の窓トップページへ